ゴシポール(Gossypol)は、炭素と酸素と水素のみからなる有機化合物の1種で、ワタが生合成するテルペノイドとして知られる。食品がゴシポールによって汚染されたこともある。
ゴシポールはワタが生合成する有毒な黄色の色素であり、種子、根、茎、葉に含まれている。特に種子に多く含有されている。分子式はC30H30O8。分子内に芳香環(ナフタレン)を2つ持っており、これが単結合で互いに直結した構造をしている。分子内にヒドロキシル基を合計6つ持つが、これらは全て芳香環(ナフタレン)に直結したフェノール性のヒドロキシル基である。なお芳香環(ナフタレン)にはアルデヒドも直結している。このようにパイ電子雲が広がった構造を持っているため、可視光を吸収して黄色く見える。ゴシポールは抗菌作用と殺虫作用を持っており、抗酸化作用も合わせ持つ。また、ヒトに対しては男性が摂取すると避妊作用がある。これを利用して男性用の経口避妊薬として使われることもある。
ゴシポール分子内のナフタレン同士をつなぐ単結合は、通常の単結合とは違って回転が制限されているため、不斉炭素を1つも持っていないのにもかかわらず光学活性を有している。 ...
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