エルゴタミン(ergotamine)は、エルゴペプチンの一種であり、アルカロイドの麦角ファミリーに属する。構造的ならびに生物化学的にエルゴリンと近縁関係にある。いくつかの神経伝達物質と構造的類似性があり、血管収縮薬としての生理活性を有する。
エルゴタミンは(時にはカフェインとの組み合わせで)急性偏頭痛の治療薬として使用されている。麦角菌の医学的利用は16世紀に分娩を誘導するために始まったが、用量の不確実さから利用は推奨されなかった。エルゴタミンは分娩後出血を抑えるために使用されている。エルゴタミンは、1918年にSandoz製薬のアルトゥール・ストールによって麦角菌から初めて単離され、1921年にGynergenとして販売された。
麻薬及び向精神薬取締法により麻薬向精神薬原料に指定されている。
エルゴタミンの作用機序は複雑である。セロトニン、ドーパミン、アドレナリンといった神経伝達物質と構造的類似性があり、ゆえにいくつかの受容体に結合できアゴニストとして働く。抗偏頭痛作用は、5-HT1B受容体を介した頭蓋内脳実質外血管の収縮や5-HT1D受容体による三叉神経の神経伝達の阻害による。エルゴタミンはまた、ドーパミンおよびノルアドレナリン受容体に対する作用を有する。一部の副作用はD2受容体および5-HT1A受容体に対する作用で引き起こされる。 ...
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