グルカゴノーマ(英: Glucagonoma)は膵臓のα細胞に由来する稀な腫瘍であり、グルカゴンを過剰に産生する。α細胞腫瘍は一般にグルカゴノーマ症候群を呈する。グルカゴン産生腫瘍がなく同様の症状を呈する場合は偽グルカゴノーマ症候群と称する。
1962年にBeckerにより報告されて以来、文献化された症例は251例に過ぎない。2千万人に1人以下と希少な為、長期生存率等は未知である。
グルカゴノーマの主症状は、ペプチドホルモンであるグルカゴンの過剰産生に基づく同化作用(糖新生等)や異化作用(脂肪分解等)の亢進の結果起こる血糖値上昇である。糖新生では、蛋白質やアミノ酸からグルコースが創られる。脂肪分解では脂肪組織が分解される。その結果高グルカゴン血症では血中アミノ酸濃度が低下(低アミノ酸血症)し、貧血、下痢、体重減少(5〜15kg)が発現する。
以前より知られている症状は壊死性遊走性紅斑(NME)で、患者の70%に見られる。NMEでは下腹部、臀部、会陰部、鼠径部等、摩擦や圧力が加わり易い部位に紅斑性水疱が形成される。
インスリンとグルカゴンのバランスが崩れるので、糖尿病も高頻度で発生する。糖尿病はグルカゴノーマの80〜90%に見られ、インスリン抵抗性が存在すると悪化する。 ...
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