アトロピン(英: Atropine)は、ヒヨスチアミンのラセミ体であり、化学式 C17H23NO3、分子量 289.37 のアルカロイド。主にナス科の植物に含まれる。CAS登録番号は 51-55-8。トロパン骨格を有し、オルニチンより生合成される。
アトロピンは、抗コリン作用を有する薬物である。具体的には、ムスカリン性アセチルコリン受容体を競合的に阻害することにより、副交感神経の作用を抑制し、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用がある。
有機リン剤中毒の治療にも用いられ、地下鉄サリン事件では、サリンに曝露した被害者の治療にも用いられた。アメリカ軍では、神経ガスに曝露してしまった時に、アトロピンを注射することが規定されており、「各BC兵器のタイプ別の症状をイラスト化した」簡易マニュアルが配布されている。また湾岸戦争において、イラクによる化学兵器使用の危険に晒されたイスラエルは、ガスマスクと共にアトロピンの注射キットを国民に配布した。
医薬品としては硫酸アトロピンとして用いられる。これは無色の結晶または白色の結晶性の粉末で、匂いはない。酢酸、エタノールに極めて溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。融点:188〜194℃。 ...
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