ヒヨスチアミン(Hyoscyamine)は、トロパンアルカロイドである。ヒヨス、マンドレイク、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ、トマト、ベラドンナ等のナス科の特定の植物に二次代謝産物として含まれる。アトロピンの左旋性異性体であり、そのためlevo-アトロピンと呼ばれることもある。同じようにナス科に含まれる抗コリン性物質で前駆体であるスコポラミンの旧別名ヒヨスチンと紛らわしいが、別ものである。ヒヨスチアミンの商標としては、Symax、HyoMax、Anaspaz、Egazil、Buwecon、Cystospaz、Levsin、Levbid、Levsinex、Donnamar、NuLev、Spacol T/SやNeoquess等がある。
ヒヨスチアミンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体のアンタゴニスト(ムスカリン拮抗剤)である。汗腺、唾液腺、胃分泌部、心筋、洞房結節、消化管の平滑筋、中枢神経系の副交感神経系でアセチルコリンの作用を阻害する。拍出量と心拍数を増加させ、血圧を低下させ、分泌を減少させる。セロトニンと拮抗していると考えられている。同程度の投与量では、ヒヨスチアミンはアトロピンの98%の抗コリン活性を持つ。一方、ベラドンナに由来する他成分であるスコポラミンは、アトロピンの92%の抗コリン活性を持つ。 ...
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