キモトリプシン(カイモトリプシン、chymotrypsin, EC.3.4.21.1・EC.3.4.21.2)はエンドペプチダーゼ、セリンプロテアーゼの一種である。膵液に含まれる消化酵素の一種で、芳香族アミノ酸のカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する。
膵臓からキモトリプシノーゲンとして分泌され、エンテロキナーゼ、トリプシンにより15番アルギニンと16番イソロイシン間の結合が切断されることにより、活性状態のπ-キモトリプシンとなる。その後、自己分解によりセリンとアルギニン、トレオニンとアスパラギン間の結合が切断され、α-キモトリプシンとなる。
遺伝子は第16染色体のq23-q24.1のCTRBである。
キモトリプシンが芳香族アミノ酸に対して基質特異性を発揮するのは活性中心の近辺に疎水性基でできた空洞があり、芳香族の側鎖がここに入ると安定化するためである。
ヒトではキモトリプシンの最適pHは8〜9程度の弱塩基性である。
生体内では、キモトリプシンはセリンプロテアーゼとして多くの臓器の消化系で働く。この酵素は、触媒がない場合は熱力学的な安定性のためとてもゆっくりとしか起こらないペプチド結合の加水分解を促進する。この反応の基質(英語版)には、トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなどがあり、これらのアミノ酸のC末端を加水分解する。多くのプロテアーゼ同 ...
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