カプサイシン (capsaicin) はアルカロイドのうちカプサイシノイドと呼ばれる化合物のひとつ。部分構造にバニリン由来のバニリル基を持つために、バニロイド類にも属す。唐辛子の辛味をもたらす主成分で、辛味の指標であるスコヴィル値における基準物質。化合物名はトウガラシ属の学名Capsicum に因む。
脂溶性の無色の結晶で、アルコールには溶けやすいが冷水にはほとんど溶けない。摂取すると受容体活性化チャネルのひとつであるTRPV1を刺激し、実際に温度が上昇しないものの激しい灼熱感をひきおこす。この機構はメントールによる冷刺激と同様である。また、痛覚神経を刺激し、局所刺激作用あるいは辛味を感じさせる。体内に吸収されたカプサイシンは、脳に運ばれて内臓感覚神経に働き、副腎のアドレナリンの分泌を活発にさせ、発汗及び強心作用を促す。ワサビ、カラシの辛み成分アリルイソチオシアネートとは風味が異なる。
マウス実験における LD50(半数致死量)は、経口 LD5047.2mg/kg、皮膚 LD50 512mg/kg、カプサイシン単体の発がん性は不明である。一方、他の物質と同時に摂取するなどで癌発生を促進する可能性を示す研究がある。しかし、がん細胞のアポトーシスを誘導するとする研究も報告されている。 ...
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