ジゴキシン(Digoxin)とはジギタリス属植物であるケジギタリス (Digitalis lanata) の葉から抽出される強心配糖体である。作用はジギトキシンより強く、作用時間が長い。ジゴキシンのアグリコン(非糖部)に相当する化合物はジゴキシゲニン (Digoxigenin) である。糖部であるジギトキソース (Digitoxose) は呈色反応であるケラー–キリアニ反応に対して陽性を示す。商品名はジゴシン。
ジゴキシンは細胞膜に存在するNa+/K+-ATPaseを阻害することによって細胞内Na+濃度の上昇をもたらす。結果、Na+を細胞へ取り込み、代わりにCa2+排出する経路として存在するNa+-Ca2+-交換体が抑制され、心筋細胞内Ca2+濃度の増加を引き起こし、心筋の収縮力の増加(陽性変力作用)、心拍数の減少(陰性変時作用)および心筋における神経興奮伝導速度の低下(陰性変伝導作用)を引き起こす。主に狭心症および心房細動に対して用いられる。副作用として嘔吐、不整脈などがある。
半減期は約36時間であり、臨床において通常1日1回125μgまたは250µgを投与する。消化管吸収は良好であり、経口、静注、筋注での投与が可能である。腎排泄型の薬物であり、P-糖蛋白質(P-glycoprotein)により血中から尿細管へと分泌・排泄される。そのため腎障害の患者に対する投与は不適である。ジギトキシンは有効血中濃度範囲が狭く、臨床で用いる ...
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