フェナントレン(phenanthrene)とは、分子式 C14H10、分子量 178.23 で、3つのベンゼン環が結合した多環芳香族炭化水素である。常温常圧では無色または淡黄色で無臭の固体で、青い蛍光を放つ。フェナントレンという名前は、フェニル基のついたアントラセンから来ている。
4位と5位の炭素が窒素に置き換わった物質がフェナントロリンである。
水への溶解度は0.00011g/100mlであり、全く溶けないと言ってよい。融点付近で引火の危険性がある。たばこから出るタールに含まれており刺激性があるほか、皮膚に炎症を引き起こす恐れがある。異性体に直線型をしたアントラセンがある。天然に存在する誘導体としては、モルヒネやコデイン、アリストロキア酸などがある。
フェナントレンは水にほとんど溶けないが、トルエンや四塩化炭素、エーテルやクロロホルム、酢酸やベンゼンといった比較的極性の低い有機溶媒には溶けやすい。
古典的な合成法としては、バーダン・セングプタ(Bardhan–Sengupta)のフェナントレン合成がある。
これはベンゼンの一つの水素をシクロヘキサノール基で置換した化合物を、五酸化二リンを使ってヒドロキシ基をすでに完成している芳香環上の水素と反応させて真ん中の環を完成させるという反応が用いられる。この反応は芳香族求電子置換反応である。その後セレンを用いて芳香環でない二つの環を脱水素化 ...
ウィキペディアでもっと読む