バニリン (英: vanillin、中: 香草醛) は、バニロイド類に属す最も単純な有機化合物であり、バニラの香りの主要な成分となっている物質。ラテン語読みでワニリンと呼ばれることもある。
天然物中にはバニラ、安息香、ペルーバルサム、チョウジ(クローブ)の精油などに含有されている。収穫されたばかりのバニラ豆中には、配糖体であるグルコバニリンの形で存在しており、キュアリングと呼ばれる工程を経ることで加水分解されてバニリンが遊離し、バニラ特有の香気が発現する。バニリンの量が多いときにはバニラ豆の表面に白い結晶として析出する。1858年に、テオドール・ニコラ・ゴブレがバニラエキスの乾燥物を熱水中再結晶してこの結晶物質を単離し、バニリンの名が与えられた。
また、原料に米と黒麹を使用する蒸留酒である泡盛、奄美黒糖焼酎などは、原料米中の細胞壁多糖にエステル結合しているフェルラ酸が,黒麹菌の持つフェルラ酸エステラーゼによって遊離され,その一部が蒸留中に脱炭酸されて4-ビニルグアヤコールとなり、熟成して古酒になる過程でバニリンに変化し、独特の香気を持つようになる。そのフェルラ酸の脱炭酸反応は,黒麹菌の持つフェノール酸脱炭酸酵素によっても触媒されることが示唆されている。 ...
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