多臓器不全(たぞうきふぜん、英: MOF; multiple organ failure)とは、生命維持に必要な複数の臓器の機能が障害された状態のこと。現代救急医療の最大の課題のひとつとされている。局所障害が枢要臓器に影響することによるPrimary MOF と、全身性炎症反応症候群から発展して生じるSecondary MOF がある。
MOFという概念が注目されるようになった背景には、救急医療の発達がある。MOFは本来、死に至る上で誰もが通る過程であるが、救急医療が発達する以前においては、MOFから死への距離が非常に短く、ほとんど不可分であった。しかし、出血や腎不全、急性呼吸窮迫症候群など、死の前段階における症候を一つ一つ克服した結果として、1970年代より、集中治療中の患者の死因として、MOFが問題視されるようになってきたものである。
MOFの基本的な病態は、急性炎症反応とこれにともなう各種サイトカインなど化学伝達物質の発現増大によって、全身において同時多発的に障害を生じることにある。主な障害は下記のとおりである。
NF-κBの活性化によってもたらされるもので、血液分布異常性ショックを誘発する。ただし後述の血管内皮障害が進展すると血管は収縮に転じる。 ...
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