上衣腫(じょういしゅ、英:ependymoma)は脳や脊髄の組織の中に悪性腫瘍(ガン)ができる疾患である。神経膠腫の一種。
脳は、記憶や学習、運動、感覚、感情などの生体機能を制御するための器官で、脊髄は、全身の大部分の神経と脳とをつないでいる神経線維の束である。脳をかたち作る細胞をグリア(神経膠)細胞といい、そのグリア細胞が腫瘍化したものをグリオーマという。グリア細胞には星細胞、乏突起膠細胞、上衣細胞、脈絡叢細胞などがあり、上衣腫はこのなかの上衣細胞から発生した腫瘍で、グリオーマの一種である。
(上衣腫は頭蓋内に発生するものと、脊髄に発生するものがある。両者に組織学的な相違もあり、臨床的には大きく異なる。ここでは、そのうち頭蓋内、特に小児の上衣腫について記述する。)
上衣細胞とは、脳の中の髄液を作る脳室という場所の表面を覆っている細胞で、上衣腫はこの細胞が腫瘍化したものである。また、頭蓋内には、大脳と小脳を隔てている膜(小脳テント)があり、その膜より上(大脳がわ)に腫瘍がある場合はテント上腫瘍と呼び、膜より下(小脳がわ)に腫瘍がある場合はテント下腫瘍と呼ぶ。上衣腫は、約40%がテント上(側脳室、第三脳室、大脳半球)に、約60%がテント下(第四脳室)に発生するといわれている。腫瘍が大きくなると脳を圧迫して神経症状が生じる。また、腫瘍によって髄液の通過障害をきたすことがあり、たまった髄液によって脳室が拡げ ...
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