卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ、ovarian cyst)とは、卵巣に生ずる嚢胞状の病変の総称であり、腫瘍性のものを含め多種多様な疾患が包括される。
獣医学的には特に機能性嚢胞に分類されるものが重要である。牛、豚で主要な卵巣疾患であり、馬、羊、山羊にも発生する。卵胞嚢腫と黄体嚢腫に区別される。症状として無発情あるいは思牡狂を示す。
卵胞が排卵することなく長期間(2週間以上、多くは数ヶ月以上)存続し、質的に変性した異常卵胞であり、片側性のものと両側性のものとがある。牛では濃厚飼料を多給する畜舎や、乳量の多い乳牛、肥育牛で多発し、直接の原因としてFSHの分泌過剰、LHの分泌低下によるものとされていたが、近年ではFSH、LH双方の分泌機能低下が原因として指摘され始めている。直径25mm以上の卵胞が存在すれば本病と考えてよい。黄体嚢腫、嚢腫様黄体、顆粒膜細胞腫との鑑別が必要。治療にはhCGの投与を行う。
卵胞が排卵しないで、その壁の一部あるいは全面が黄体化し、中心部の腔に内容液を貯留し長く存続するもの。牛では原因としてはLHの分泌不足が考えられ、卵胞嚢腫から移行することが多い。直腸検査では正常な黄体、卵胞嚢腫と ...
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