胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう、英: Biliary atresia; BA)とは、新生児〜乳児早期において、肝臓と十二指腸を繋ぐ肝外胆管が炎症性に破壊され、肝臓で胆汁うっ滞を引き起こす疾患である。肝外胆管破壊の機序は今だ不明であり、日本においては難病指定されている(指定難病296)。1万人あたりの出生率は1.03〜1.37程度と見積もられている。放置すると胆汁性肝硬変に移行するため、生後60日以内の肝門部腸吻合術(葛西手術)が推奨されている。手術で充分な減黄が得られなかった場合、自己肝での生存が難しくなった場合などには、肝移植も治療の選択肢となる。
かつては「先天性胆道閉鎖症」(英: Congenital biliary atresia; CBA)との呼称もあったが、現在では先天的な形成異常ではなく生後早期の炎症による肝外胆管破壊が機序として考えられており、専ら「胆道閉鎖症」と呼ばれている。
肝臓で作られた胆汁は、左右の肝管から総肝管・胆嚢・総胆管(いわゆる肝外胆管)を通って十二指腸のファーター乳頭から排出される。胆道閉鎖症の患児では、生後早期にこの肝外胆管が炎症性に破壊され、胆汁の流れが堰き止められる。この結果、排出できない胆汁が上流の肝臓に蓄積され(胆汁うっ滞)、閉塞性黄疸を来す。このため患児では、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症を示す。放置すると肝内に鬱滞した胆汁によって胆汁性肝硬変が引き起こされ、致死的となるおそれがある。約85%で肝門部を主病変とし ...
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