癒着胎盤(ゆちゃくたいばん)とは、妊娠・出産の際に発生する合併症の1つであり、胎盤が母体の子宮に癒着して剥離が困難となる疾患である。
出産の際に児が娩出された後、正常分娩であれば胎盤が子宮から剥離して娩出されるが、何らかの理由により胎盤の絨毛組織が母体子宮の筋層に侵入していた場合、胎盤が子宮から剥離せず、積極的な医療的介入を行わない限り出産の進行が不可能となる。
類似した疾患として付着胎盤があり、これと癒着胎盤との鑑別は、胎盤と子宮の組織間に床脱落膜が形成されているか否かを組織学的に評価することで行う。床脱落膜が形成されているものが付着胎盤、形成されていないものが癒着胎盤である。
IrvingおよびHertigによる病理組織学的分類では、胎盤が子宮筋層表面に癒着したものを楔入胎盤(せつにゅうたいばん)、筋層深くに侵入したものを陥入胎盤(かんにゅうたいばん)、筋層を貫通して漿膜層に到達したものを穿通胎盤(せんつうたいばん)として分類しており、日本産科婦人科学会でもこの分類に従っている。
癒着の占める割合による分類では、胎盤の全面が癒着している全癒着胎盤、全面ではないが複数の胎盤葉が癒着しているものを部分癒着胎盤、1個の胎盤葉が癒着しているものを焦点癒着胎盤とする。 ...
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