腫瘍崩壊症候群(しゅようほうかいしょうこうぐん、英:tumor lysis syndrome)または腫瘍融解症候群(しゅようゆうかいしょうこうぐん)とは抗がん剤治療や放射線療法等でがん細胞が短時間に大量に死滅することで起こる症候群で、腫瘍学的緊急症の一つである。
がんに対する非外科的療法(腫瘍を直接取り出すのではなく体内で死滅させる療法:抗がん剤や放射線治療など)が進歩して有効性を増すに連れ、体内でがん細胞が大量に死滅することによる本症のリスクが無視できなくなってきている。昨今は小児がんや血液の悪性疾患を診療する医師が最も留意すべき緊急事態とされているが、他の成人の腫瘍でもその報告は増す傾向にあり、また化学療法中でなくても腫瘍の自然崩壊によって発症した例
が報告されている。発症の危険度を検査値から予測する試みもあるが 、悪性疾患に対する化学療法・放射線療法の効果が期待できるほど本症の危険は逆に増すことを常に念頭に置く必要がある。
がん細胞が一度に大量に細胞死を起こすと、核酸をはじめとする分解産物が血流中に大量に放出されて、それがもとになって重篤な病態を惹き起こす。
DNA・RNAが血流中で分解して高リン酸血症を起こす。これは血清のカルシウムと結合してリン酸塩を作り、毛細血管を閉塞させると同時に、次節の低 ...
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