ベリリウム肺(症) (Berylliosis) または慢性ベリリウム症 (chronic beryllium disease, CBD) はベリリウムおよびベリリウム化合物への曝露によって肺に生ずる慢性アレルギー性疾患であり化学性肺炎。ベリリウム中毒の一症状である。航空宇宙産業やベリリウム鉱山、蛍光灯工場(かつて蛍光体にベリリウム化合物が用いられていたため)の作業者に職業病として多発した。
1930年代に、ベリリウム鉱山や精錬所の作業者に気管支炎や肺炎に似た症状が生ずることがドイツとロシアで報告された。1946年までにアメリカの蛍光灯工場の作業者に同様の症状が多発し、1949年にはベリリウム化合物の使用が取り止められた。作業時に曝露してから何年も発症しない者もいれば、またある者は一度わずかな塵に曝露しただけで発症するなど、感受性は個人差が非常に大きいことが知られている。ある研究では、オハイオ州ロレインのベリリウム工場から3/4マイル(約1.2キロメートル)の範囲に住む人のうち1%が、大気1立方メートルあたり1ミリグラム以下の濃度のベリリウムへの曝露でベリリウム肺を発症していた。アメリカでは900件のベリリウム肺症例が登録されており、当初は精錬所や蛍光灯工場の関係者がほとんどだったが、後には航空宇宙産業やセラミックス産業、冶金工業の関係者が多数を占めるようになった。 ...
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