窒素中毒(ちっそちゅうどく)とは、高分圧(通常3~4気圧程度以上)の窒素を摂取すると発症する一種の中毒症状。一般的に窒素酔い(ちっそよい)と呼ばれる。特にスクーバダイビングなど、空気あるいは混合ガスを用いての潜水時に起こりやすい。
窒素中毒の典型的な症状は、多幸感と総称される精神の高揚状態である。窒素中毒の影響が強くなるに従って、楽観的あるいは自信過剰といった傾向が強くなり行動に慎重さが失われる。窒素酔いという名は、この症状が酒に酔っている状態に似ていることからつけられたものである。いったん窒素中毒を発症すると窒素分圧が高くなるほどその症状は強くなるが、窒素分圧が十分に下がればとくに後遺症もなく回復することが他の高気圧障害にはない特徴である。
窒素中毒そのものは、よほど症状が重くならない限りただちに生命に危険を及ぼすものではない。しかし、基本的な運動機能などはあまり影響を受けないものの、潜水中にもっとも必要とされる計算力や判断力など高次の知的機能が著しく影響を受けることにより潜水事故の危険性が増加する。場合によっては、口からマウスピースを外したりするような危険な行動をとったりもする。窒素中毒は通常窒素分圧が4~5気圧程度に達すると発症するため、空気潜水(呼吸ガスとして空気を使用する一般的な潜水)の場合、窒素分圧4気圧(3.12atm)に相当する深度約30mまでが窒素中毒に対して安全な範囲とされており、一般レクリエーショナルダイ ...
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