エンバク(学名:Avena sativa)はイネ科カラスムギ属に分類される一年草で、その種子は穀物として扱われる。なお漢字では燕麦と書かれる。円麦という漢字やえんむぎという読みは誤り。また英語名の「Oat」から、オートムギ、オーツ麦、オートとも呼ばれる。また、同属の野生種 A. fatua (カラスムギ)の栽培種であるため、価値が高い・本物という意味のマ(真)をつけてマカラスムギとも呼ばれる。
稈長は 60 - 150 cm となり、止葉の上の節間が長い。葉は幅広く、葉耳を欠く。穂長は 20 - 25 cm 程度で、穂型は一般的には散穂型であるが、片穂型の品種もある。1個の小穂は2個の苞頴を有し、小花 1 - 4 を包む。エンバクの穀粒は頴に強くはさまれており容易に外れないものが一般的であるが、東アジアで栽培されるものはこれが外れやすい、いわゆる裸性のものが主流である。
栽培は秋蒔きと春蒔きとに分かれる。エンバクは冷涼を好むものの、ライムギとは異なり耐寒性は高くないため、寒冷地では凍害を受け冬を越せないことが多い。そのため、温暖な土地では秋蒔き、寒冷地では春蒔きを行うことが通例である。エンバクは寒冷でやせた高緯度地帯で栽培されることが多く、世界的には春蒔きによる生産が多い。ムギ類のなかでは湿潤を好み、生育には多量の水を必要とする。また、ムギ類のなかでは乾燥に最も弱く、生育期に乾燥が激しくなると悪影響がある。腐植土を好むが、生育地の幅は広い。酸性に強く、酸性土壌で広く生育す ...