ライムギ(ライ麦、学名Secale cereale)はイネ科の栽培植物で、穎果を穀物として利用する。別名はクロムギ(黒麦)。単に「ライ」とも。日本でのライムギという名称は、英語名称のryeに麦をつけたものである。食用や飼料用としてヨーロッパや北アメリカを中心に広く栽培される穀物である。寒冷な気候や痩せた土壌などの劣悪な環境に耐性があり、主にコムギの栽培に不適な東欧および北欧の寒冷地において栽培される。
原産は小アジアからコーカサスあたりと考えられている。小麦や大麦の原産地よりはやや北の地域である。
栽培化の起源は次のように考えられている。もともとコムギ畑の雑草であったものが、コムギに似た姿の個体が除草を免れ、そこから繁殖した個体の中から、さらにコムギに似た個体が除草を逃れ、といったことが繰り返され、よりコムギに似た姿へと進化(意図しない人為選択)した。さらに環境の劣悪な畑ではコムギが絶えてライムギが残り、穀物として利用されるようになったというものである。同じような経緯で栽培作物となったエンバクとともに、本来の作物の栽培の過程で栽培化されるようになった植物として二次作物と呼ばれる。現在でもコムギ畑における強勢雑草であり、コムギの生育条件の悪い畑ではコムギを押しのけてライムギのほうが主となっている畑がみられる。本来の野生種ライムギは種子が脱落するタイプのみであったが、コムギ畑の雑草化した時点で半脱落性化し、さらに栽培化の過程で他の穀物 ...