テンナンショウ属 (Arisaema) は、被子植物単子葉類サトイモ科に属する植物。有毒なものがある。テンナンショウは天南星の意で、この中の1種で日本列島から朝鮮半島にかけて分布する Arisaema serratum (Thunb.) Schott のこと、あるいはこの類の球茎の漢方生薬名である。
湿潤な熱帯や温帯に見られ、東アジア、東南アジア、北米、メキシコ、アフリカ東部などに分布する。世界で約150種があり、日本では約30種ほどが見られる。詳細な分類は難しく、現在も学名が変わることがある。
英語では Cobra lily や Jack-in-the-Pulpit の別名がある。
多年草で球根(球茎・塊茎)を持つ。葉は複葉で1~2枚つき、葉柄の根元は葉鞘となって筒状に重なり、一見茎のように見えるため偽茎と呼ばれる。小葉は種によって3枚から20数枚が鳥趾状や掌状につく。葉柄の上に花柄を延ばし、仏炎苞を付ける。仏炎苞が葉よりも高く伸びるか低いかは種による。
ムサシアブミなど一部を除き、多くは雌雄異株であるが、栄養状態によって性転換することが知られている。春に咲く花にはサトイモ科の特徴である肉穂花序と仏炎苞を持つが、仏炎苞の形状が特徴的で様々なものがあり、森の木陰に咲く紫色の仏炎苞は不気味な印象を与えるものもある。この仏炎苞は肉穂花序をぐるりと一周してラッパ状になるものが多い。肉穂花序の上部は様々な形の付属体となり、付 ...