オオウイキョウ(巨茴香、Ferula communis)は地中海世界に分布するセリ科の多年草。古代ギリシャにおいては、νάρθηξ (narthex) と呼ばれていた。
茎は直径3 - 7 cmと太く中実で、高さ2 - 3 mにまで育つ。葉は3回羽状複葉で、葉身は糸のように細かく裂けている。大きな散形花序をなし、初夏に明るい黄色の小さな両性花を咲かせる。夏以降、茎は直立したまま枯れるが、軽くて丈夫なため杖などに利用される。
地中海沿岸に広く分布し、水はけの良い石灰質の土壌を好む。
根元から採れる樹脂 (فسوخ, fessoukh) が伝統薬として使われるほか、花蕾と茎を食材 (boubal) として利用する。
4-ヒドロキシクマリン誘導体を生合成する点が特徴的であり、fessoukhの主成分もこれらの誘導体である。利用法は、オリーブ油と混ぜて白癬や水虫、リウマチ結節など様々な皮膚病に対する塗り薬としたり、飲み薬として虫下しや痛み止めなどに用いたりする。
花序にはミルセン、リモネン、ピネンといったモノテルペンや、アリストレン、ファルネソールなどのセスキテルペンが含まれている。
オオウイキョウが含有する4-ヒドロキシクマリン誘導体にはワルファリンに似た抗凝血 ...