アケビ(木通、通草、山女、丁翁)は、アケビ科の蔓性落葉低木の一種(学名: Akebia quinata)であるが、アケビ属(学名: Akebia)に属する植物の総称でもある。本記事ではこの種の方を扱う。
アケビの名の由来は、秋に楕円形の果実がつき、熟すと縦に割れて白くて甘い果肉と黒い種子を覗かせる様子から、「開け実」の意味で名付けられたものである。アケビは、地方によりアケビカズラ、アクビなどの方言名でもよばれている。中国植物名(漢名)は、木通(もくつう)と称される。
日本の北海道を除く、本州・四国・九州に分布し、日当たりのよい山野に自生する。やぶ地や、やや日陰がちな場所に樹木に巻き付いて生育する。
つる性の落葉性の本木(低木)で、茎は蔓になって左巻きに他の植物などに巻き付き、古くなると木質化する。葉は、短い柄を持つ楕円形の小葉が5枚集まって掌状につく複葉で、長い葉柄をつけて蔓(茎)に互生する。
花期は春(4 - 5月)、雌雄同株であるが雌雄異花で花色は淡紫色。春先に伸びた新芽に、新葉と共に長い花序が垂れ下がり、柄の基部に1 - 3個の濃紫色で大きな雌花、柄の先端に多くの淡紫色で小さな雄花が咲く。雌花に長い花柄があり、暗紫色の萼片(花被)が3枚つき、花弁はない。雄花の中央部には6本の雄しべがミカンの房状に、雌花の中央部にはバナナの果実 ...