ヤシャブシ(夜叉五倍子、学名:Alnus firma)はカバノキ科ハンノキ属の落葉高木。日本固有種で、西日本に多く自生する。近年、花の花粉が花粉症などのアレルゲンとなることが知られるようになった。
高さは1-15mくらいになり、本州の東北南部(福島県あたり)以西の太平洋側と四国、九州の低山帯、平野部などに分布し、日本海側にはほとんど自生しない。また、街路樹として植えられることもある。樹皮は灰褐色で、老木になるにつれ次第に短冊状にはがれてくる。枝はよく分岐する。葉は互生し濃い緑色、幅は狭く卵形で、単鋸歯。長さは4-10cm、幅は2-4cmくらい。側脈は通常13-18対で多くても20対以内。また、陽樹であり、日当たりを好むところから、法面や崩壊地、はげ山などにも生えやすい。種子は光発芽種子であり、発芽に際し光を必要とする。さらにヤシャブシ類は根に根粒菌を共生させていることから、痩せ土でもよく生育することもあり、山地の緑化にしばしば利用される。
ヤシャブシ(夜叉五倍子)の名の由来は、熟した果穂が夜叉にも似ていることから。また果穂はタンニンを多く含み、五倍子(フシ)の代用(タンニンを多く含有する五倍子は古来、黒色の顔料、お歯黒などに使われてきた)としたためといわれる。 ...