タビビトノキ(旅人の木、学名Ravenala madagascariensis)は、マダガスカル原産のバナナに似た植物である。オウギバショウ(扇芭蕉)、あるいは旅人木(りょじんぼく)ともいう。英語名は'Traveller's Palm(旅人のヤシ)'だが、ヤシではなくゴクラクチョウカ科に属する。
名称の由来は、葉柄に雨水を溜めるため、乾燥地帯の旅行者の飲料水供給源として利用されたからとも、また高木は葉が東西方向へ扇状に広がることから旅人に対するコンパスの役割を果たすからともいうが、ともに確かな定説ではない。巨大な櫂状の葉が長い茎柄の先に扇状に平面に並ぶ。ストレリチア(ゴクラクチョウカ)の仲間だが、花は小さく目立たない。その特性や扇状の葉を展開する美しい特徴から、世界の熱帯及び亜熱帯地域で広く栽培され街路樹にも利用されている。乾燥地から湿地、水辺まで適応が広い。マダガスカル航空の尾翼に図案化されている。
タビビトノキはタビビトノキ属における唯一の種であり、南部アフリカのゴクラクチョウカ属(Strelitzia)、南米のタビビトノキモドキ属(Phenakospermum)と非常に近しい。以前はこれらがバショウ科(Musaceae)に分類されることもあった。 ...