アツミゲシ(渥美罌粟、学名: Papaver setigerum)は、ケシ科ケシ属の一年生植物(越年草)。和名は、1964年に愛知県渥美半島の沿岸部において日本への帰化が発見されたことに由来する。
日本ではあへん法で栽培が原則禁止されている種に指定されている。なお、保健所や警察においては学名の種小名に由来するセティゲルム種で呼ばれることが多い。
帰化植物として知られ、世界各地に帰化しているが、南ヨーロッパや東ヨーロッパ、北アフリカといった地中海沿岸域が原産地である。現在も原産地には多数の野生株が自生している。
高さ 60-80cm 程度で、ソムニフェルム種(ケシ)よりずっと小型である。茎は直立、よく分枝し、茎の上部に長さ 3mm ほどの肉質の剛毛がある。葉は緑灰色、狭心形で大きな欠刻があって、縁は鈍鋸歯となり、欠刻の先端には茎にあるのと同様の剛毛があり、無柄で、基部は耳状に茎を抱き、互生する。
ソムニフェルム種と同様、春から夏にかけて、茎の先端に直径 6cm ほどの4弁花をつける。花はソムニフェルム種より小型で円形に近く、ケシ特有のなんともいえないひどい臭いがする。花弁は白色から赤色を経て濃い紫色まで。しばしば大きな斑紋がある。日本で発見されるものは白い花冠の下部に淡いピンク色の斑点をもつものが多い。萼はソムニフェルム種と同様に早落性で、開花時にはない。開花前のつぼみは始めは下を向 ...