スズメノヤリ(Luzula capitata)は、小柄な野草である。早春に穂を出す。
スズメノヤリは、単子葉植物イグサ科に属する植物である。見かけはイグサには似ず、小柄なイネ科植物に見える。
茎は短くて地中にあり、地表には根出葉だけを伸ばす。葉はイネ科植物のような線形の細長い形で、ゆるやかに曲がって、断面は浅いU字になる。葉は緑色でややつやがあり、縁に沿って長くて白い毛がまばらに生えている。また、葉の先端がすらりと細くなるのではなく、先端の部分が細いながらも厚い棒状の形になって終わる。日本産の同属のものは、ほとんどがこの特徴をもつので、ここに気をつければ花がなくても見分けがつく。
三月ころに穂を伸ばす。10cm位の細長い花茎が伸びて、その先端に花が頭状に集まる。見かけ上は個々の花ははっきりせず、赤褐色のくす玉のような固まりが着いているように見える。固まりは一つ、あるいは二つくらいに分かれており、時には短い柄を伸ばしてその先により小さな固まりをつける。なお、花茎の途中には一枚の苞葉がつく。
この花の固まりは、よく見れば一つ一つの花がはっきりしているので、イネ科に見られる小穂とは異なる。個々の花は六枚の花被がある。花被は先がとがった楕円形で、紫褐色をしている。花被が開くと中からは黄色くて大きな葯が顔を見せる。花被は果実になっても残り、緑色の果実の下側を包むようになる。 ...