ゲンリセア属 Genlisea は、タヌキモ科に所属する植物で、食虫植物である。地下に逆Y字の管状の捕虫器を伸ばす。捕虫方法はY字型の管に螺旋の構造を持つもので、食虫植物では本属のみの独特のものである。
ゲンリセア属はタヌキモ属の陸生種(ミミカキグサなど)にやや似た姿の植物で、根はなく、茎は地中にあって地表にはさじ形などの葉を出し、花は立ち上がって伸びる花茎に着ける。ただし、地下茎はほとんどの種では横に這わず、ごく短い。地下に伸びるのは葉の変形による捕虫器であり、これは先端が逆Y字に分岐した管であり、その側面に開く隙間から微小な動物が入ると、内部の構造に誘導されて管を上に進んでいくしかなくなり、合流点より上にある膨大部に取り込まれ、ここで消化吸収を受ける。
タヌキモ属の陸生種と同様な環境に生育し、その分布は熱帯アメリカとアフリカ(マダガスカルを含む)に限られる。長らく日本には導入されなかったが、近年持ち込まれ、栽培されることがある。
小型の草本。茎は地中にあって、水平にごく短く伸びる。ただし1種、G. repens のみは茎が横に匍匐茎のように伸びて、平らに広がる。地上に出る葉は、さじ形から線形で、これは光合成に与る。上記の1種を除くと、それ以外のものでは葉はロゼット状に密集して生じる。地下に向けては細長い葉緑素を欠く構造が伸びるが、これも葉であり、捕虫器になっている。真の根はなく、この点ではタヌキモ属と共通 ...