虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)または虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)とは、血流が絶たれたために大腸の損傷を起こす疾患である。主な症状として腹痛と血便がしばしば見られる。
大腸に血液を送る動脈の血流が一時的に阻害されることで起こる。上腸間膜動脈血栓症とは異なり、上腸間膜動脈の閉塞はみられない。血流が阻害されることで、大腸壁の粘膜やその内側の層の損傷が起こり、大腸粘膜に潰瘍・びらんが生じて出血する。
血流が減少する原因については不明なことも多いが、心臓疾患の患者、高血圧の人、糖尿病患者、大動脈の手術を受けた人、血液が凝固しやすい疾患の人、便秘がちの女性に比較的多くみられる。また、医薬品の副作用として起こることもある(薬剤性腸炎)。
主に60歳以上の高齢者が発症することが多いが、近年では若者の発症例もみられる。
一過性型、狭窄型、壊死型の3類型がある。ほとんどの場合、1~2週間程度で回復する一過性型である。
虚血性大腸炎で最も多く見られる症状は強い腹痛である。左側が痛むことが多いが、腹部のどこでも痛む可能性がある。下痢を伴うことも多く、しばしば血便が出る。ときに大便を伴わず血液のみを排泄する場合もある(下血)。 ...
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