神経変性疾患(しんけいへんせいしっかん、neurodegenerative disease)とは、それぞれ特有の領域の神経系統が侵され、神経細胞を中心とする様々な退行性変化を呈する疾患群である。臨床的には潜在的に発症し、緩徐だが常に進行する神経症状を呈し、血管障害、感染、中毒などのような明らかな原因がつかめない一群の疾患を指してきた。アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などがこの疾患群に属する。
神経変性疾患の「変性」とはラテン語のdegeneratioに由来し、組織ないしは細胞が組織化された正常の活動を営んでいる状態(high level)から低級な状態(low level)へ変化・退行したことを示す。神経変性疾患に関して普遍的な定義はないが、臨床的には潜在的に発症し、緩徐だが常に進行する神経症状を呈し、血管障害、感染、中毒などのような明らかな原因がつかめない一群の疾患を指して神経変性疾患と称してきた。病理学的にはそれぞれの特有の領域の神経系統が侵され、とくに神経細胞を中心に様々な種類の退行性変化を認める疾患群である。分子遺伝学的な研究により原因遺伝子やリスク因子が同定され、分子生物学的な研究で発症機構が分子レベルで解明された結果、関連する蛋白質の構造異常や凝集が神経変性の病態の根底にあり、「蛋白質の蓄積病」という共通メカニズムが存在していることが明らかになった。蛋白質の構造変化が要因となり、本来は除去されるべき異常蛋白質分子が老化や細胞機能の障害などによる蛋白質品 ...
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