トウヒ属(唐檜属、英語: spruce(スプルース)、学名:Picea)は、マツ科トウヒ属の常緑針葉樹の総称。
いわゆる「クリスマスツリー」型の典型的な針葉樹である。
樹高は生育環境によって大幅に異なるが、条件の良い場所ではかなりの巨木になる場合がある。北米太平洋岸には樹高95メートルのシトカトウヒがあり、世界最高の巨木の1つである。
和名に「〜バラモミ」、「〜ハリモミ」と付くものが散見されることからも伺えるように、樹形や葉の付き方はモミ属とよく似る。しかし樹皮は茶色で鱗状に割け、葉の先端が尖る、枝に「葉沈」と呼ばれる突起があってそこから葉がのびている点がモミ属と異なっている。葉の断面は横に扁平(トウヒ節)の種類と菱形(バラモミ節とオモリカトウヒ節)な種類がある。
また、モミ類では球果(松ぼっくり)が枝の上に直立して生じるのに対して枝から下に垂れ下がること、丸っこい種子鱗片の下から針状にとがった包鱗片が顔を見せるが、トウヒ属では包鱗片はごく小さくて外から見えないこと、種子の散布後にモミ属では鱗片が脱落するがトウヒ属では残ることなどが大きく異なる。
ツガ属は葉はモミ属に近いが毬果の性質はトウヒ属に近い。ただし毬果は遙かに小さい点で区別できる。トガサワラ属やアブラスギ属はその点ではトウヒ属に近いが包鱗片がよく発達する。 ...