エゾマツ(蝦夷松、学名:Picea jezoensis)は、マツ科トウヒ属の常緑針葉高木。近縁のアカエゾマツも含めて「エゾマツ」と総称することも多く、この場合にはアカエゾマツと対比してクロエゾマツあるいはクロエゾと呼ばれる。本州の高山に分布するトウヒはエゾマツの変種とされている。
千島列島、樺太、渡島半島以外の北海道、中国東北部、シベリア東部、カムチャツカなどに分布する。
大きいものでは樹高40 m、幹の直径は1 m以上に達する。樹皮は黒褐色でうろこ状に割れ目が入るのが特徴であるが、当年枝の表面は滑らかでやや淡色である。天然には広葉樹やトドマツなど他の針葉樹と混交して自生する。防風林や公園樹、庭木(特に洋風庭園)、盆栽用樹として植えられる。粘質壌土に適し、浅根性である。萌芽力は比較的弱い。晩霜に弱く、エゾマツカサアブラムシによる被害もあることから人工造林は難しく、ほとんど行われていない。
エゾマツ材は淡黄色で着色した心材がない。木目もまっすぐに通っており美しく、建築材料に多く用いられる。また繊維が長く、製紙用原料(パルプ材)にも非常に適している。切削などの加工も容易で、家具、箱材、楽器(ピアノ、ヴァイオリン、ギター等)、経木、マッチの軸、碁盤など様々な用途に利用されている。 ...