ケシ属(ケシぞく、学名:Papaver)はケシ目ケシ科の属の1つ。
60以上の種が知られ、アヘンを採取するケシや園芸用のヒナゲシも本属に含まれる。どれも草本でユーラシアやアフリカ、北アメリカの寒帯から温帯にかけて自生する一年生または多年生の植物である。なお種のほとんどは旧世界産であり、北アメリカに自生する種はごく僅かである。基本的に寒地性で耐霜性を有し、かなりの種が高山あるいは極北周域の寒帯、亜寒帯に分布する。
植物体に微毛の生えた種が多く、どの種も傷をつけると白い乳液を流す。この液にテバイン、コデイン、パパベリン、ロエアジンなどのアルカロイドが含まれており、その多くが薬用として人の役に立っている。その中でもっとも有名なアルカロイドがモルヒネであるが、モルヒネが含まれる種は本属中のケシ及びアツミゲシの僅か2種のみで、他の種にはまったく含まれていない。なお先進国ではこれらのアルカロイドはケシの乳液からでなく、刈り取った植物体を有機溶媒に浸すなどして化学的に抽出するのが一般的である。
学名 Papaver はラテン語でケシの意味だが、その由来については古代アッシリア語でのケシの乳液の呼び名から、ラテン語の粥の意、種子を頬張るときにする音から、などと様々な説がある。 ...