コウホネ属 Nuphar はスイレン科の水生植物。地下に太い根茎を持ち、葉や花茎を根出的に伸ばす。葉は水中、水面、水上と3通りの形を持ち、花は丸っこくて黄色か紅色をしている。観賞用に栽培される他、アルカロイドを含み、薬用ともされる。
水中性の多年生草本。根茎は水底の泥の中にあって太くて長く横に這い、色は白い。葉や花は根茎の上に螺旋状に出て、前年までのそれらの跡が茎の上に黒っぽく残る。
葉の形に3通りがあるのがこの類の1つの特徴である。1つは水中葉で、葉身が薄い膜質になっており、その縁は大きく波打っている。2つめは水面に浮かぶ浮葉で、3つめは水面から抜き出て空中に拡がる水上葉である。普通は初めに水中葉が出て、それから次第に浮葉や水上葉を発達させる。ただし水上葉をあまり出さないものもあり、浮葉すらほとんど出さないものも1種知られる。
花は長い花茎があり、普通は根茎からでて水上に抜き出て咲くが、水面で咲く場合もある。いずれにせよ、花は花茎の先端に1個だけ生じる。萼片は普通は5枚だが、時に8枚くらいになり、丸っこく大きく発達し、普通は黄色で、これが見かけ上では花弁のようになっている。萼片の外側はしばしば緑色を帯び、また開花が終わったあとも残存している。花弁は萼片より小さくて多数ある。雄しべも多数あって、その柄に当たる花糸は幅が広く、葯は内側に向く。雌しべは多数の心皮を持ち、それらが基部で融合した合生子房となっており、雌しべの先端部は並んだ柱頭が平らな面 ...