サルナシ(猿梨、学名:Actinidia arguta)はマタタビ科マタタビ属の雌雄異株または雌雄雑居性のつる植物で、落葉性植物。別名:シラクチカズラ、シラクチヅル。果実はコクワとも呼ばれる。
日本列島、朝鮮半島、中国大陸などに分布する。本州中部以南の温暖地では、概ね標高600m以上の山岳地帯に自生する。日本の本州中部(長野県)では、標高700mから1400m程度の沢筋から斜面上部まで分布する。
蔓は、赤茶色で、太くなると黒っぽい茶褐色になり樹皮が剥がれる。葉は、細かい鋸歯があり6 - 10cm、葉柄は赤茶色で2 - 8cm。秋に黄葉して、落葉する。
花は白色で、果実はキウィフルーツを無毛にしてかなり小さくしたような緑色の2 - 3cm程度のものに熟する。果実の味はキウィフルーツに似ている。
野生動物の食料として重要な位置にあり、日本ではニホンザルやツキノワグマ、ヒグマなどが好んで大量に摂食して種子散布に貢献する。クマ類がこればかりを大量に食べた後の糞の外見はキウィフルーツのジャムに酷似する。このように、ヒトを含む哺乳類の味覚の嗜好に適する点、鳥類による種子散布に頼る植物の果実の多くの色が赤色か黒色である点、哺乳類に発達した嗅覚を刺激する芳香を持つ点から、主として哺乳類の果実摂食による種子散布に頼る進化を遂げた植物であると考えられる。 ...