マタタビ(木天蓼、Actinidia polygama )は、マタタビ科マタタビ属の落葉蔓性木本である。山地に自生する。別名夏梅ともいう。
和名のマタタビの由来については、古くは『本草和名』(918年)に「和多々比」(わたたひ)、『延喜式』(927年)に「和太太備」(わたたび)の名で見える。
貝原益軒『日本釈名』(1699年)では、果実に長いものと平らなものができることから、「マタツミ」の義であろうという。
アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが、現在最も有力な説のようである。『牧野新日本植物図鑑』(北隆館 1985。331ページ)によるとアイヌ語で、「マタ」は「冬」、「タムブ」は「亀の甲」の意味で、虫えいを意味するとされる。一方で、『植物和名の研究』(深津正、八坂書房)や『分類アイヌ語辞典』(知里真志保、平凡社)によると「タムブ」は苞(つと、手土産)の意味であるとする。
一説に、「疲れた旅人がマタタビの実を食べたところ、再び旅を続けることが出来るようになった」ことから「復(また)旅」と名づけられたというが、マタタビがとりわけ旅人に好まれたという周知の事実があるでもなく、また「副詞+名詞」といった命名法は一般に例がない。むしろ「またたび」という字面から「復旅」を連想するのは容易であることから、典型的な民間語源あるいは単なる流言飛語の域を出るものではない。 ...