ヨザキスイレン(Nymphaea lotus)は、スイレン科スイレン属の水生多年生植物。和名はエジプトスイレンともされる。
北東アフリカ・西アジアを原産とするが、水草として盛んに栽培され、栽培品種も多く生まれている。オマラナ(N. × omarana)などの親種となった。
地下茎から茎を伸ばし、水面に葉と花を1つ浮かべる。葉は楯形で径40-50センチメートルで波状縁があり暗緑色、裏面は茶褐色で葉脈がはっきりと見える。花の色は白で大きさは20-25センチメートル、花弁は丸い。夜の間(午後7時頃)に開花し、午前中(午前11時頃)のうちに花を閉じることから、夜咲睡蓮の名を持つ。
ナイル川に多く生えていたため、古代エジプトでも重んじられ、エジプト神話の中でもヘルモポリス系の神話では、原初において一本のヨザキスイレンから世界が生まれたと語られている。その後も「ナイルの花嫁」と讃えられ、現在もエジプトの国花とされている。
花を食用とした場合、催淫性あるいは幻覚性の効果があると信じられていた。『オデュッセイア』に登場するロートパゴス族はその好例である。また、媚薬の材料としても知られた。