イチジク(無花果、映日果、一熟)は、クワ科イチジク属の落葉高木(学名: Ficus carica)、またはその果実のことである。原産地はアラビア南部。別名は、南蛮柿。
「無花果」の字は、花を咲かせずに実をつけるように見えることに由来する。中国で名付けられた漢語で、日本語ではこれに「イチジク」という熟字訓を与えている。中国で「映日果」は、無花果に対する別名とされた。
「映日果」(インリークオ)は、イチジクが13世紀頃にイラン(ペルシア)、インド地方から中国に伝わったときに、中世ペルシア語「アンジール」(anjīr)を当時の中国語で音写した「映日」に「果」を補足したもの。通説として、日本語名「イチジク」は、17世紀初めに日本に渡来したとき、映日果を唐音読みで「エイジツカ」とし、それが転訛したものとされている。
中国の古語では他に「阿駔」「阿驛」などとも音写され、「底珍樹」「天仙果」などの別名もある。
日本には1591年に天草に所縁のある神父がポルトガルのリスボンから伝えたとされ、天草はイチジク発祥の地とされる。
伝来当時の日本では、はじめ「唐柿(からがき)」、ほかに「蓬莱柿(ほうらいし)」「南蛮柿(なんばんがき)」「唐枇杷(とうびわ)」などと呼ばれた。いずれも“異国の果物”といった含みを当時の言葉で表現したものである。なお現在でも天草地方ではイチジクを「南蛮柿」と表記する文化が残っている。+= ...