セイヨウナナカマド(西洋七竈、英名:Rowan, Mountain ash、学名:Sorbus aucuparia)はナナカマド属に属するヨーロッパ原産の落葉樹である。ヨーロッパの中部から西部の広い範囲に分布し、その生息域は北極圏にも達する。生息域の南部である地中海地方では山地の高いところでのみ見られる。英名Rowanは北欧の言葉で魔除けを意味するRunaに由来する。北欧神話によれば雷神トールが増水した河を渡るとき、このナナカマドに助けられたとされる。スコットランドではwiggen treeとも呼ばれ、魔術的な物を避けるお守りとして神聖視されていた。船の一部としてセイヨウナナカマドから切り出した板を嵌めこみ水難避けのお守りにしたという。またもう一つの英名Mountain Ashはセイヨウナナカマドの葉が一見トネリコ属(ash tree)の葉と似ていることからきている。セイヨウナナカマドとトネリコ属は近縁ではない。
落葉性の中低木で、成長すると8~10メートル程になることが多い。まれに20メートルを超える。大きく成長し28メートルに達する個体もある。樹皮はなめらかで、若木は銀灰色をしている。樹齢を重ねると薄い灰褐色になり、時にはひび割れする。新芽は緑色で細かい毛に覆われているが、次第に灰褐色になり毛もなくなる。つぼみは細かい毛に覆われており、紫茶色で目立つ。葉は長さ10~22センチメートル、幅6~12センチメートル。9~19枚(多くは13~15枚)の小葉が羽状複葉を形成している。小葉1つの長さは3~7 ...