トウキ(当帰、Angelica acutiloba)は、セリ科シシウド属の多年草。漢方薬として用いられる。
漢字で「当帰」と書き、この名は中国の伝説に由来する。妻が婦人病を患ったことから、夫が家に寄りつかず、思いあまった妻は人から教えられた薬草を煎じて飲み、病気は回復した。妻は「恋しい夫よ、当(まさ)に家へ帰るべし」といったことから、この薬草に「当に帰る」から当帰と名付けたとされる。
本種は別名をニホントウキともいう。和名トウキは、漢名「当帰」の字を当てているが、一般流通している薬草名としては大和当帰、北海当帰などと称している。薬草としての真の当帰は、中国原産のカラトウキ (Angelica sinensis)を指す名称で、本種トウキの名は、カラトウキの中国漢名のzh:当帰からとったものである。本種の中国植物名(漢名)はzh:東当帰(とうとうき)という。
本州中部地方以北に分布し、山地の岩の間などに自生する。北海道、奈良県、和歌山県などで、薬用に栽培もされる。
多年草。茎は多く枝を分け、高さは40センチメートル (cm) 前後になる。茎と葉柄は赤紫色を帯び、茎、葉ともに毛は無く、葉の表面は濃緑色で光沢がある。葉は互生し、2-3回3出羽状複葉で、小葉は切れ込み、縁にはとがった鋸歯がある。葉柄の基部は鞘状に膨らみ茎を抱く。 ...