モチノキ(黐の木)とはモチノキ科の植物の一種。学名:Ilex integra。別名ホンモチ。
本州、四国、九州、南西諸島、台湾、中国中南部に分布する雌雄異株の常緑高木であり、株単位で性転換する特性がある。
開花期は春、花弁はうすい黄色でごく短い枝に束になって咲く。雄花には4本の雄蕊、雌花には緑色の大きな円柱形の子房と退化した雄蕊がある。晩秋に直径1センチメートルほどの球形の赤い果実をつける。
葉がクチクラ層と呼ばれるワックス層に覆われていることから塩害に強い。寒気の強い内陸では育ちにくいため、暖かい地方の海辺に自生する。刈り込みに強いことから公園、庭などに植栽される。
モチノキにはモチノキタネオナガコバチという天敵が存在する。このコバチは夏に発育中の種子の中に産卵し、幼虫と成って越冬する。幼虫は実の色を操作する能力があり、秋になれば本来赤くなる実を緑のままにすることで、実が鳥に食べられる事態を避ける。鳥に食べられる事によって繁殖するモチノキにとって、コバチの産卵は繁殖の妨げとなる。
モチノキは花粉を受粉しなくても種子を形成し、果実まで成熟することができる能力があり、調査によって未受精の種子は全体の3割に及ぶことが判明している。コバチは受精した種子にしか産卵しない特性があり、時間と労力をかけて産卵管を挿入しても、未受精の種子だった場合は産卵せずに抜いてしま ...