コブシ(辛夷、拳、学名:Magnolia kobus)は、モクレン科モクレン属の落葉広葉樹の高木。早春に、他の木々に先駆けて白い花を梢いっぱいに咲かせる。
和名コブシの由来については定説がない。つぼみが開く前、開花の様子が小さな子どもの握りこぶしのように見えるという説。つぼみの形を握りこぶしに見立てたものだとする説。また他説では、果実(集合果)の形がでこぼこしていて、(子どもの)握りこぶしに見立てたことに由来するとする説もある。和名「コブシ」が、そのまま英名・学名になっている。
中国植物名(漢名)は日本辛夷(にほんしんい)。日本では「辛夷」という漢字を当てて「コブシ」と読むが、これは花のつぼみを乾燥させた生薬名が辛夷(しんい)であるためである。中国の辛夷は、ハクモクレン(白木蓮)、もしくはモクレン(木蓮)のことを指し、コブシの漢名とするのは誤りとされている。
別名ヤマアララギ、コブシハジカミともよばれる。アイヌ地方では「オマウクシニ」「オプケニ」と呼ばれる。それぞれ、アイヌの言葉で「良い匂いを出す木」「放屁する木」という意味を持つ。遠見だと桜に似ていること、花を咲かせる季節が桜より早いことから、ヒキザクラ、ヤチザクラ、シキザクラなどと呼ばれる。これらの呼称は北海道、松前地方を中心に使われる。一方、北海道のコブシは「キタコブシ」と呼ばれることもある。 ...