南アジアや東南アジア、オセアニアなどで用いられる、噛む嗜好品。噛みタバコではない。
2.漆塗り手工芸品の一つ。以上はすべて本稿で説明する。
キンマの名称は以下に記述するように用法に多少、混乱があり注意を要する。
日本に於いては、キンマとはビンロウジと石灰とキンマの葉を噛む習慣を考慮して、そのすべてをまとめてキンマと呼ぶことが多い(#嗜好品としてのキンマ)。日本語におけるキンマの語は、タイ語における「キン(食べる)+マーク(ビンロウジ)」(ビンロウジ(檳榔子)を食べる、の意)という語の訛である。ビンロウジとはビンロウ(檳榔、ヤシ科 Areca catechu、ビンロウジとの区別でビンロウジュ(檳榔樹)とも言う)の実のことを言う。マークという言葉の本来の意味は「実」であったが、タイに於いてはアユタヤ王朝時代から、貴賤問わず広く服用され日常性が高かったために、「実を食べる」という略語的用法がそのまま「キンマを用いる」という意味になっていった。
一方で日本においては室町時代に伝来し、本草学の研究や漆器などで知られるようになり、本草学では「蒟醤」、漆器では金馬や蒟醤と表記された。のちに日本では「キンマ」の言葉自体が、元々の「実(あるいはビンロウジ)を食べる」という本来の意味からはずれ、ビンロウジと一緒に口に入れる葉の名前として借用されることになった(#植物としてのキ ...