ヒハツ(畢撥 Piper longum)とは、コショウ科のツル性木質植物。
果実はコショウに似た風味を持っており、コショウと同様にスパイス(香辛料)として利用される。そもそもコショウを意味する英語“pepper”は、サンスクリットでヒハツを表す“pippali”に由来している。(和名の「ヒハツ」は漢語由来の同源の名称である。)なお、英語で“long pepper”と呼ばれる植物には同属のヒハツモドキ (P. retrofractum;日本の沖縄県では「ピパーチ」等の名で利用され「ヒハツ」と呼ばれることもある) もあるが、こちらはインドネシアジャワ島に自生する別種である。
ヒハツの果実は乾燥させてスパイスや調味料として利用され、しばしば果実目的で栽培される。実はコショウのそれと似ながらも、より刺激的な風味を持つ。一方でシナモンのような甘い香りがあるとも表現される。果実は小さな果実の集合から成っており、花柱の周りに多数の実が付いて垂れ下がる様子はハシバミの尾状花序に似る。果実はアルカロイドの一種ピペリンを含んでおり、これが刺激性の原因の一つとなっている。
ヒハツは紀元前6-5世紀頃、ヒポクラテスによってギリシアにもたらされた。彼はヒハツについて初めて書物に記し、またスパイスとしてではなく薬剤としての機能について論じた人物でもある。ギリシャ人やローマ人の間では新大陸の発見に先駆けて、ヒハツは重要かつ良く知られ ...